西国巡礼手帖
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【地蔵盆・京都六地蔵巡り】/京都市
2015.10.15 Thursday
夏の終わり、お盆を過ぎた8月22と23日
京都を中心とした関西では地蔵盆が始まる。
地蔵盆は、お地蔵様を祀るお寺はもとより
路地や辻にある小さなお地蔵様にも供物を捧げて家内安全・無病息災を祈願するものだが
多くは学区や町内会単位で開催され、子供達にとっては夏祭りと同様の雰囲気で
生活に密着した信仰となっている。
由来は、
1157年
、
平清盛
が都の安泰を願うために
6つある街道の入り口に地蔵堂を建てたのがはじまり。
これらの地は、関所のような防衛と治安維持の役割を担っていたのかもしれない。
それぞれのお地蔵様は
昼は朝廷、夜は閻魔大王に仕えていたとされる
小野篁
(たかむら)が作ったものとされる。
小野篁が亡くなった後、
冥途で地蔵尊に会い(※閻魔大王はお地蔵様の化身)
「苦しみを恐れる人に、わたしとの縁を結ばせよ。
その人びとはことごとくわたしが救おう。
お前は再び人間の世界に戻り、このことを伝えよ」
と啓示をうける。
蘇った小野篁は庶民がお参りできるように
小幡山の桜の一木から地蔵尊を6体を掘り出し分祀した。
これらは六道輪廻を象徴したものである。
全てのお地蔵様を巡礼し、各寺で授かったお幡を自宅の玄関に吊るしておけば、
厄病退散・福徳招来すると言われているのが六地蔵巡りである。
京都南ICからほど近い、鳥羽地蔵から京都市中を「のノ字」に6か所を巡ることにした。
■鳥羽地蔵 浄禅寺
山号 恵光山
宗派
浄土宗西山禅林派
本尊 阿弥陀如来立像
開基 文覚上人 1182年
檀家さんたちの手厚いお接待をうける。
手水舎の水は湧き水で、そのまま飲むことができる。
さすが銘酒の多い伏見から近く、水に恵まれた地区だと実感した。
▶(地蔵尊の写真は京都観光チャンネル様より拝借)
■桂地蔵 地蔵寺
山号 久遠山
宗派
浄土宗
ご本尊 地蔵菩薩立像
開基 平清盛 1157年
本堂は新しく、境内も広い。
お地蔵様も近年補修されたのか鮮やかな色合いの仏様である。
6体のお地蔵様のうち
一木の最下部をもって刻まれたものと伝わり、他寺と比べて大きな躯体である。
・長谷川等伯の襖絵(重文)
▶
■常盤地蔵 源光寺
山号
宗派
臨済宗
開基
・常盤御前の墓
6か所のお寺のうち特に異色だったのが常盤地蔵の源光寺。
住宅街の中にひっそりと佇むお寺の入り口には
手書きの看板があちこちにあり、内容も新興宗教っぽくてかなり怪しい雰囲気だ。
お幡もこちらだけ長方形で旗の形をしておらず、なぜ他のお寺と合わせないのかは不明。
巡って幡を集める者にしては、同一の幡型のほうが有り難いのだが。
ご朱印は法印の有無で、300円と500円の2種類に分かれていた。
▶(地蔵尊の写真は京都観光チャンネル様より拝借)
■鞍馬口地蔵 上善寺
山号 千松山
宗派
浄土宗
(1594年にこの地に移るまでは天台宗)
開基 円仁(863年)
ご本尊 阿弥陀如来(行基作)
鴨川デルタの畔にある鞍馬口地蔵。
元々あった千本今出川にも同名のお寺があり間違いやすいので注意。
境内には縁日が並んでおり、夏祭りの風情が楽しめた。
▶
■山科地蔵 徳林庵
山号 柳谷山
宗派
臨済宗南禅寺派
開基 雲英正怡(1550年)
人康親王が病気で失明し、859年出家してこの地で隠棲した。
新王は琵琶の名手として盲人たちに琵琶を教え、琵琶法師の聖地となった。
南禅寺の260世、雲英正怡(うんえいしょうい)禅師が新王の菩提を弔うため創建。
・蝉丸供養塔
六地蔵巡りの中で最も賑やかであったのが山科地蔵。
山科駅一帯から交通規制が敷かれ、町をあげての地蔵盆祭りとなっていた。
駐車場を探すのにも苦労したが、なんとか礼拝できた。
お寺の横では胡弓とギターの演奏会が開かれていた。
琵琶法師や鍼灸の聖地として崇められてきたお寺であることを鑑みると演奏会も意義深い。
▶(地蔵尊の写真は京都観光チャンネル様より拝借)
■伏見六地蔵 大善寺
山号 法雲山浄妙院
宗派
浄土宗
(平安時代から1558年までは天台宗)
開基 藤原定慧(鎌足の子)705年
ご本尊 阿弥陀如来
6体の地蔵尊は、当初この地に祀られていたので六地蔵という。
最後に向かったのが伏見の大善寺である。
案内では16時に閉まるとあったので間に合わないかとも思われたが
ダメモトで訪れてみると17時まで礼拝可能であった。
この日は写真のお地蔵様に赤い頭巾が被されており、とても可愛らしいお姿であった。
▶<番外編>
(地蔵尊の写真は京都新聞様から拝借)
■六臂地蔵尊 智恵光院
山号 称念山平等寺
宗派
浄土宗
開基 如空 鷹司兼平
ご本尊 阿弥陀如来立像
小野篁はさらに六道輪廻を1体で表すため、六臂の地蔵尊を作った。
6本の腕を持つ地蔵尊は日本でここだけだという。
当日23日にご開帳されるとの情報で参拝してみたが、どうやら17時からだったらしい。
お寺も人の気配がなく、お堂の前で手を合わせただけで去ることにした。
機会あればまたじっくりと参拝してみたい。
※黄色のラインが六地蔵巡り
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